最近また梅毒のニュース増えてますよね。
ことし全国から報告された性感染症の梅毒の感染者数は、今月19日の時点で1万3251人となり、去年1年間の1万3228人を上回って、現在の方法で統計を取り始めて以来、最も多くなりました。感染者数は3年連続で過去最多を更新していて、専門家は「リスクのある性行動をとった場合は、感染しているかもしれないと考えて検査を受けてほしい」と呼びかけています。
引用元:NHKニュース
その中でも衝撃的だったのが文春に載った、風俗嬢が梅毒になってしまい、勤務する風俗店に提出する『性病検査』の替え玉になった女の子のインタビュー。
文春砲どころか、X（旧Twitter）で破壊的拡散力のある滝沢ガレソ氏にまで取り上げられ、ガレソ砲まで浴びてしまいました。
この世の地獄みたいなので取り上げませんと言いつつも、文春砲が出た後はリプに追加されてます。
風俗で働いてた私から見てもとんでもない話な訳ですが、なんでとんでもない話かと言うと、梅毒って他の性病と違って罹ってしまうと一生残る病気だし、罹ってるかどうかの判定も難しくて、治ったのかの判定も曖昧で、他の性病と違って完治と判断されるまで半年以上と長くかかるんです。
もちろんその間はセックス出来ないし、万が一治っただろうって感じでやっちゃって相手に移しちゃったら大変な事になっちゃいます。
と言う事で、今回は梅毒になったら何がまずいのかってのと、風俗での性病検査についてお話ししたいと思います。
梅毒とは
梅毒とは、梅毒トレポネーマという細菌が感染することで起こる感染症です。
って、そんなの解ってるよ！ って声が聞こえてきそうなので要点だけまとめてお話ししますね。
感染原因
感染する原因で一番多いのは粘膜接触、つまりセックス＝性行為です。キスやフェラチオだけでもうつります。コンドームしたから大丈夫だろうとか言ってる人もよく見ますがしないよりはマシ位に思ってた方がいい。梅毒の感染確率は15%〜30%。3割打者です。王、長嶋、松井並みの強打者ですね。ちなみに淋病とクラミジアは30%〜50%ともっと高い。
日常生活でもうつるという話もありますが、梅毒の細菌は熱と乾燥に弱いのであまり心配は無いようです。でも可能性はゼロじゃ無いので用心してくださいね。
症状
第一期
感染してから大体3週間くらい
感染したと思われる箇所（唇や舌、口内、性器、肛門等）に小さなシコリが出来る。でもこれ、大体2〜3週間で治っちゃうんですね。このシコリは性病（STD）とは無関係な粉瘤（アテローム）とかの場合もあるんですけど、アテロームもパートナーやお店の女の子に見られたら性病疑われるし自然治癒はしないので病院行った方がいいんですよ。
もうね、なんか出来てた。この時点で検査ですよ。唇はちょっと切れてシコリ出来る事もあるけど、ヘルペスとか他の性病の可能性もあるんで即検査！
第二期
感染してから大体3ヶ月くらい。
手や足の裏に発疹、身体にバラ疹と呼ばれる赤い発疹が出始めてきます。
足の付け根辺りのリンパ節にシコリが出来る。
第三期〜第四期
大体二期までいけば気付くはずなんだけど、更に放っておくと症状が治まって潜伏期に入っちゃうんです。それで治ったかもなんて甘い考えはしないで一刻も早く病院行ってください。
その先はかなり悲惨になってくるので東京都保険医療局のサイトで確認お願いします。
性病検査
あれ？ って思ったらまず検査なんだけど、検査する事に対して躊躇しちゃう人も多いのはわかります。自分も最初イヤだったし。
検査するには保険診療と自費診療のふた通りあります。わかりやすく言えば、家族にバレるのがイヤな人や症状は無いけど検査したいって人が自費診療。バレても良くて思い当たる症状がある人は保険診療です。
保険診療
行くのは泌尿器科か性病科、皮膚科になります。女性の場合は婦人科でも大丈夫です。検査は血液検査（抗体検査）と尿検査です。
健康保険を使う場合、何かしら性病を疑う症状が出ている事が必要です。そして健康保険を使う場合は年末に来る「医療費のお知らせ」に記載されるので、家族や会社に知られる危険性があります。
費用は梅毒、淋菌、クラミジア、ヘルペス等、疑われる病気をいくつか同時に検査します。上記4項目の場合、3割負担の場合で大体3〜5000円位でした。メリットは、確定判定された場合にそのまま通えて薬も処方してくれる点です。
自費診療
誰にも知られたくない、症状は無いけど検査したい、風俗などで働くのに検査結果が必要とかの場合は自由診療になります。
費用は梅毒、淋菌、クラミジア、ヘルペス、HIV、B型肝炎合わせて2万円行かないくらい。梅毒単体で5000円〜9000円くらい。郵送キットの場合で13000円〜16000円くらい。梅毒とHIVだけで5000円以下のキットもあります。事前問い合わせ確認推奨です。
＜PR＞
国の公的機関の無料検査
梅毒とHIVは、東京都を始めとした都道府県、市町村の公的機関で無料、匿名で検査してくれます。ただ、希望が多くすぐ埋まってしまうのと、予約が1〜2ヶ月前で症状が出ていると遅くなってしまうのが難点です。
検査結果
通常梅毒の検査は『TP法（TP抗体検査）』と『RPR法（RPR抗体定量検査）』の二種類があって、わかりやすく言うと、RPR法が今梅毒に罹っているかで、TP法が感染した事があるかです。
一回でも梅毒に感染した事がある場合はTP法に（＋）の値が出ます。これは一生（＋）のままです。
RPR法が（＋）の場合、梅毒に感染していると言う事になり、治療が必要になってきます。
つまり、TP法が（＋）でもRPR法が（−）なら現在梅毒では無いと言う事です。
稀に感染した覚えもないのにTP法で（＋）になる方もいますが、誤検出の場合もあるし、感染した時期に風邪や何かの病気で抗生物質を処方されて運良く完治していたと言うケースもあります。特にペニシリン系の抗生物質はインフルエンザでよく処方されるので。
治療
梅毒の治療には、ペニシリン系の抗生物質を2〜12週間（3ヶ月）服用する必要があります。服用終了後に再びRPR法で検査をして、数値がどれくらい下がったかで判断します。※大体半分以下だそうです
再検査の結果によって治療継続か治癒かになりますが、例え治癒だったとしても半年後くらいに再検査という場合もありますので陽性だった場合は根気がいる治療になり、その間セックス出来ないというとんでもない病気なんですね。
ペニシリンアレルギーの方は他の薬が処方されるようなので診察時に医師に相談してください。
よく風俗嬢にとって性病は風邪みたいなものって言う人がいますが、ちょっと軽く考えすぎなんじゃ？ って思う位に治療は長期間かかります。
他にも抗生物質の注射による治療があり、早期なら1回。後期で3回の筋肉注射での治療だそうです。この場合も完治と判断されるまで性行為は禁止です。
じゃあオナニー（自慰行為）は大丈夫だよねって思っちゃうところですが、医療関係のサイトに『オナニーする事で菌が奥まで入って来ちゃうので禁止』って書いてるサイトもあったので注意してください。出すのに入っちゃうとかちょっと意味わかんないですよね。
Doxy PEP（ドキシペップ）と言う予防法
梅毒を予防する方法は無いのか？ と聞かれれば、エロい事しなければいいんじゃないって答えるしかなかったんですが、もしセックスした相手に疑われるような発疹があったり唇や陰部にシコリのようなできものが出来てた場合には『ドキシサイクリン（ビブラマイシン ）』という抗生物質を性行為後72時間以内に服用する事で感染する確率を下げてくれる薬があるそうです。それぞれ梅毒で87%、クラミジア88%、淋菌で55%の効果があると書かれています。※2024年2月現在
特に性風俗店で働く女性はお客様に疑わしい症状があっても断れず、コンドームを着けて接客したりしないといけない場合があるので、そういう状況になった場合は選択肢に入るかもしれません。
じゃあ、それを毎日飲めばいいんじゃない？ って考える人もいると思いますが、STD（性感染症）に限らず抗生物質は強い薬なので副作用もあるし、飲み過ぎると薬自体が効きにくい身体になってしまう場合もあるために注意が必要です。
https://hara-kodomo.com/blog/2018/02/01/抗生物質の使いすぎは、なぜいけないのか？-その2/
この薬、実は今回のブログ書くまで知らなかったんですよ。調べてみると日本での治験が2022年と割と最近なんですね。
治験、承認が最近という事もあり、長期的な副作用のデータが取れていないのも含めて注意が必要です。通常の抗生物質でさえ、薬局でもらう時に「凄く強いお薬ですので」と断って渡されるので尚更です。
自費診療のクリニックで処方しているところもあるようなので、どのような薬なのかの情報がこれから色々出てくると思いますが、気になる方は医療機関に相談してみてください。
風俗店による性病検査の実態
今回のニュースを見て風俗店による検査ってどうなの？ って思いますよね。
特に「来店した男性の入浴の補助をしてたら恋愛感情になって最後までしちゃいました〜」というソープランドは大抵のお店で月一回の検査を女の子に義務付けています。厳しいところで月2〜3回というお店もありました。
HIVの流行で、それまでコンドームを着けずに生で挿入していたのがゴム着用になり、ほとんどのお店が衛生器具着用店になりましたが、2024年現在ではNSと呼ばれる生挿入出来るお店も多くなり、女の子によってゴム着かNSか決められる混合店も存在します。そんな時代だから検査は当然やってるだろって思いますよね？
実はこれ、ちゃんとやってる店もあればやってない店もあるんです。
1ヶ月に1回検査が必須という店舗が多いのですが、女の子の任意という店も今だにあるんです。
検査は義務だけど、検査で陽性反応が出てなにかしらの性病と判断されても薬飲んだら翌日から出勤可能ってグループ店もあるって実際に働いてた女の子から直接聞いたことがあります。性病って完治まで大体2週間位はかかりますよね？ どこの店かは言いませんがそんなんやってたら普通に性病がうつる可能性高くなりますよね。それに今回のように替え玉検査とかまかり通ってたらお客さんいなくなっちゃいますよ。
なんというか、今回一番ダメージ受けたのって真面目にやってる店舗さんと女の子なんだよね。真面目にやってる方が割を食うっておかしくないかって思うけど、そういう店舗さんや女の子がいるのも事実で、遊ぶ男性側も自分は大丈夫とかいう謎のバイアスの人が多いのも問題。
まとめると
梅毒感染の原因は粘膜接触＝性行為です。
性風俗店は毎月性病検査を義務付けているお店が多いですが、単価が安いお店だったり違法風俗である性的サービスがある違法メンエスや援デリ、DC、P活、立ちんぼ等の個人買春等は定期的に検査しているかはわからないし、症状が出てもいないのに検査する人は少ないでしょう。
他にも海外から日本の風俗で遊ぶために来る人も多いし、日本人が海外の風俗店に出稼ぎに行くという事も増えています。ちなみに中国には日本の風俗で遊ぶ為のポータルサイトがあって、そこに掲載してるお店は結構あるし、そこの掲示板にはプレイを盗撮した写真や動画が無修正で載ってたりするからタチ悪い。日本語が話せない人や不安な人には日本語を話せるエージェントが間に入って予約や交渉を代行したりする場合もあるんです。
つまりはリテラシー自体どう考えてるかわからない人も大挙押し寄せてるのが現実。
検査しないと言えば遊ぶ男性側にも検査している方は少ないでしょう。働く女性に対して性病検査を義務付けてるお店は多いけど、客側に検査を求めるお店は珍しいです。入店していざプレイ開始ってトコで発疹やできものを見て女の子が怪しいと思って初めてわかるなんてケースがほとんどです。不特定多数の人と性的行為をする事を考えればいくら検査しても性病にかかる可能性はゼロじゃない。だからこそ遊んだら検査。そして陽性になったら完治するまで性行為をしない、遊ばない、働かない。これ絶対です！
そうしていけば流行は収まるはずです。
性感染症について色々調べてまとめましたが、このブログは情報提供を目的としておりますので、アドバイスや診断を行うものではありません。詳細などは医療機関等専門のサイトで確認し、薬の処方の場合は必ず医師の指示を受けていただきますようお願いします。
